50代MR 自分の立ち位置を考える

退職まであと数年。この数年をどう生きるかがその後の人生を大きく左右する

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若手MRの退職が止まらない

 

36歳のMRから「退職します」との連絡がありました。

ここ1ヶ月で3人目です。

3人とも30代。

自分の人生を振り返っても、30代はノリノリな年齢です!

社内外ともに仕事のコツがわかり余裕が出てきます

大きな仕事も任せられ、社内でも影響力を持ち始める年代。

 

私は3人ともよく知っているMRですが、明るくて、性格が良く、よく働きます。

先輩からは可愛がられ、後輩からは慕われる、そんな人間です。

将来、きっと偉くなるだろうなと思っていました。

 

その3人が立て続けに退職。

同僚のモチベーション低下など、影響は避けられません。

会社としても、退職理由をできるだけ把握しようと努力はしているようですが、退職する本人も波風を立てたくないと思っているためか、本音は言いません。

 

3人といろいろと話している中で、退職理由に共通点がありました。

その点を踏まえ、今回は「若手MRの退職について」書きたいと思います。

 

【目次】

 

 

MRの現状

コロナ前と後では、MR活動の在り方が大きく変わりました。

現場を回っててつくづくそう思います。

新型コロナウイルス感染拡大により、病院はMR訪問禁止となり、面談ができなくなりました。

会社も「MRが医療機関に訪問できなければ、宣伝ができないため、売上が落ちる」と想定していたところ、ほとんど売上は落ちず。

コロナ禍において、MRが回らなくても売上は落ちないと証明されたわけです。

「MRはそんなにいらないでしょ!」

経営者なら当然、そう思います。

特に大手製薬会社はコロナ前に比べると、MR数は激減しています。

この傾向は今度も続いていくものと思われます。

 

MRが減ると、MR一人当たりの担当範囲が広くなり、多くの担当施設を持つことになります。

物理的に限界があるため、すべてのターゲット施設は回れません。

しかし、会社は、仕事量を維持しつつ、できるだけターゲット施設を回るよう指示を出します。

医者には面会できない上、担当先も大幅に増え、MRはどんどん疲弊していくのです。

 

 

退職する3人の共通点

3人の退職理由の共通点は以下の通りでした。

 

  1. 会社の将来性に不安
  2. ギスギスした社風が耐えられない

 

1.会社の将来性に不安

私の会社の新薬開発パイプラインを調べてみましたが、Phase1,2のステージのものが多く、将来性に不安が残ります。

そういえば、先日、本部長は「こんなに新薬開発パイプラインがあるので将来は期待できる」と言っていました。

MRに夢を持ってもらいたいという本部長の気持ちが嬉しくもあり、また痛々しくもありました。

国内では、毎年、薬価改定があります。

薬価が下がれば、会社の利益も減少します。

利益が確保できなければ、当然ながら社員の給料が上がりません。

新薬を開発できない会社は、いずれ衰退していくしかないのです。

医薬品の開発には10年以上の期間が必要であり、成功率も極めて低いのです。

生き残るためには、医薬品の研究開発に多額のお金を投入します。

 

若いMRは将来性を重要視します。

30代となれば、結婚して子供もできる頃。

マンションを購入したり、また子供の教育費も必要となります。

30歳だとすれば、60歳まで30年間(あるいは65歳まで35年間)。

長い会社人生が待っています。

会社の将来性に不安を感じれば、早めに転職しようと考えるのは当然なのかもしれません。

 

 

2.ギスギスした社風が耐えられない

どこの製薬会社でも、企業理念、経営理念、行動指針などがあります。

私の会社でも理念があり、内外ともに示しています。

大切なことですね。

社員がその理念を理解し、忠実に行動していることも重要です。

  • 患者中心
  • 誠実
  • 法令順守
  • 高い倫理観
  • 患者中心 などなど

素晴らしい言葉が並びます。

売上重視の姿勢が強まると、この理念や指針に反することが起こってしまいます。

例えば、本部から営業所長にいろんな指示が届きます。

 

  • 目標計画を必ず達成してください
  • 医師との面談率を上げてください
  • 目標採用軒数を必ず達成してください  などなど

 

短期的な売上を重視するあまり、経営理念は忘れ去られます。

民間企業なので、利益を追求するのは当然です。

会社の上層部にいけばいくほど、結果が求められるのもわかります。

しかし、長期的に大事なのは関わる全ての人との信頼関係です。

強引な依頼、相手の立場を考えない営業活動、有効性だけは宣伝するMR活動など、自己中心的な活動を行なっていると、いずれ信頼をなくし、薬の売上にも反映してきます。

人と人との信頼は、時間がかかって作られていくものですが、信頼を失うのはあっという間です。

会社も会社でまず社員との信頼関係を築くべきですが、どうも私の会社では、MRを「モノとしてみてない」と感じるところがあり、その社風を若いMRは敏感に感じ取ります。

そして落胆から諦めに変わっていくのです。

 

3名の転職先

詳細はここでは省きますが、3名のうち、2名は他の製薬会社へ転職します。

それも競合メーカーのMRです。

会社の情報やノウハウが、競合メーカーに持っていかれるからです。

日本では、「職業選択の自由」が憲法で保障されていますので、退職後にどういう仕事に就こうと問題になりません。

しかし、会社としても誓約書や契約書などの形で、できるだけ流出を防ごうとします。

(当然と言えば当然ですね)

 

会社に恨みがある場合は大きな問題に発展しかねず、注意が必要です。

会社のブラックな部分をマスコミにリークすることもあり得る話です。

人の恨みほど恐ろしいものはありません。

あともう1人は、生命保険会社です。

MRの仕事が嫌になったと言っていました(泣)

 

残念ながら、今回、3人の後輩たちが退職しますが、将来のある方々なので、自分で選んだ職場で頑張ってほしいなって思います。

3人ともできるMRだったので、きっと成功するとは思いますが・・。

 

会社にいるより外回りの方が落ち着く?

個人的ですが、私は先生と話をするのが大好きです。

中には気難しい先生もいますが、多くはいい先生です。

 

昔、上司から、

上司「営業マンは企業戦士。外では常に戦わなからばならない。会社に帰った時ぐらいはくつろいでくれ」

部下「はい、ありがとうございます。会社に帰ると落ち着きますね」

 

今は私の立場は逆です。

会社にいるとギスギス感がありすぎて、やる気が吸い取られます。

逆に、病院やクリニックに行って先生と話していると本来の自分に戻れます。

大半のMRは、テレワークでの仕事もできるようになってから、会社へは寄り付かなくなりました(笑)

 

 

最後に

将来、今の会社が、アンメットメディカルニーズに応える 新薬を生み出し、その新薬で困っている患者がよくなれば、社会貢献していることにもつながります。

会社としての企業価値も上がり、社員も会社を誇りに思うはずです。

そんな会社になってほしいと心から思います。

では良い1日を!