いやいや、それにしても物価は上がり続けていますね。
なんとポテトチップスなんて約1年で30%以上の値上げなんですよ!
ポテチって大好物なのにー!
ほんと困ります。
しかし、下がり続けているものもあります。
それは薬価。
薬価は国が定めていますので、販売価格への転嫁ができません。
税金や社会保険料を財源とした国民皆保険制度なので、国が「薬価」をコントロールするのは理解できますが、製薬会社にとっては薬価は利益そのもの。
薬価が下がるということは、経営にもろ影響が出ます。
果たして、日本の製薬会社って今後、どうなっていくんでしょうか・・・。
<目次>
薬価改定
2年に1回の薬価改定が、2021年より、毎年行われるようになりました。
主な目的は、
- 実勢価格をより迅速に反映した医療費の適正化
- 国民負担の軽減
超高齢化社会になれば薬の量は減らない?
ご存知の通り、日本は超高齢化社会に突入しております。
厚生労働省の発表によると、2021年時点での平均寿命は、
- 男性:81.47年
- 女性:87.57年 だそうです。
なんと昭和22年の男性平均寿命は50歳。
江戸時代は30歳から40歳だそうです。
それなら、平安時代は?縄文時代は?
まさか、10代とか?
ひえ~!
厚生労働省資料より
高齢化に伴い、日本の国民医療費は増加の一途をざとっており、このままでは「国民皆保険制度は破綻しかねないかも!」とマスコミでよく騒がれています。
医療費のうち、半分以上が65歳ということを考えると、
医療費はさらに増え続けると予想されます。
さらに人件費の高騰、医療技術の高度化、高価な薬剤費が追い打ちをかけます。
家庭で言えば、収入が減り、支出が出る一方。
まさに謝金地獄!
これでは家庭崩壊してもおかしくありません。
なんとしても改善しないと!ということで、国もいろいろと手を打っています。
- 特定健診やがん検診の推進による早期発見・早期治療
- 生活習慣病予防の徹底
- 平均在院日数の短縮
- 重複受診の抑制
- 健康診査及び保健指導の実施を義務付け
- 診療報酬の引き下げ
- ジェネリック医薬品の推進 など。
どれも有効だとは思いますが、医療費削減幅は雀の涙?
しかし塵も積もれば山となるのです。
診療報酬ついては、保険医療機関などが行う診療行為やサービスに対する評価ですので、そう簡単には引き下げられません。
削減するのに一番手っ取り早いのが薬価を下げる!
しかし、薬価は下がったとしても、薬剤使⽤量が増えたり、新薬の発売などもあり、薬剤費総額は微増となっています(下の図)
もし薬価改定が行われなかったら、医療費は増加の一途。
これでは財源が不足するのは目に見えています。
製薬会社ごとに見る必要がありますが、長期収載品を多く抱えている、あるいは新薬が出ない製薬会社は薬価改定の影響をまともに受けます。
財務省資料
薬価引き下げによるデメリットもある
薬価改定は、ほとんどの場合、薬価が引き下げられます。
そうなると、
- 医療機関:薬価差による収益減少(本来、薬価差でもうけてはいけないのですが)
- 製薬会社:収益減少。研究開発の中断。国際競争力低下
となります。
製薬会社は、当然、収益確保のため、合理化を進めます。
特にジェネリックを扱うメーカーは、多数の品目を製造しなければならず、合理化を進める過ぎると、「品質確保」「安定供給」に大きな支障をきたす可能性もあります。
本来、「品質管理」「安定共有」に資源を投入する必要があるのですが・・。
仮にGMP違反となれば、生産ラインが停止してしまいますので、「モノ(薬)がない」状態になってしまいます。
最近はMRやMSに「モノがないのでなんとかしてくれ」という薬局からの問い合わせが多くなりました。
以下の表は、供給不足状況・納入状況(薬剤師調査)の調べですが、最近では、ジェネリック医薬品以外の供給不足も多く発生しています。
私を含め、現場のMRやMSは得意先に迷惑をかけたくなのでなんとかしたいと思っていますが、なんともできない状況なのです。
令和4年度厚生労働「医療用医薬品・医療機器等の供給情報を医療従事者等へ適切に提供するための情報システムの構築に向けた研究・医薬品アンケート調査結果
国民皆保険は維持できるのか?
国民皆保険制度のおかげで、日本は世界の中でも「長寿国」を実現しました。
しかし、財源が不足しています。
医療費は、人口減少、高齢者増加により、「収入<支出」の図式となり、この図式を「=」にするためには、
- 収入:国民負担を増やす
- 支出:医療費削減する(制度の見直し)
どちらにしても「痛み」が伴います。
「薬が高くて買えない」
「薬が手に入らない」
そんな時代がそこまで来ているのかもしれません。