長年勤めた会社を希望退職し、「ついに自由だ!」と喜んだのも束の間。最初のうちは、月曜日の朝に「会社行きたくないなぁ」と思わなくて済むことが、何よりの解放感でした。「毎日こんなペースで過ごすのも悪くないな」と、ゆったりした生活に少しずつ慣れていきました。
ところが、しばらく経つとふと心に引っかかるものが。「このままで本当にいいのかな?」と、モヤモヤする日が増えてきたのです。思っていたより“自由”って難しいのかもしれない──そんな気持ちがじわじわと湧いてきました。
この記事では、退職後3ヶ月の私自身の生活と心の変化を、リアルな体験を交えてお届けします。
目次
退職後1か月目:天国キターーー!️
長年勤めた会社を離れ、ついに始まった“縛られない毎日”。最初の1ヶ月は、ただただ開放感に包まれていました。通勤も会議も、気を遣う人間関係もない日々はまさに天国。朝は好きな時間に起きて、趣味に没頭し、美味しいものを食べて気の向くままに出かける。そんな毎日に、自然と笑顔がこぼれていました。
「仕事中心」だったこれまでの生活から「自分中心」へ。心に余裕が生まれ、気持ちまで軽やかに。リゾートにでも来たような感覚で、毎日がキラキラして見えました。
ストレスフリーな毎日
長年の仕事から解放され、ついに自由の世界へ!毎日の通勤、終わりの見えない会議、そして煩雑な人間関係…これらから解放された瞬間、「自由だー!」と叫びたいほどの幸せな時間です。好きな時間に起床し、趣味に没頭し、美味しいものを食べ、行きたい場所へ行く。この自由な時間、まさに天国!心に余裕と安らぎが広がり、時には「こんなに幸せでいいのかな?」と思ってしまうくらいです。
新しいことへの挑戦
退職後の自由な時間は、まさに自分をリセットする絶好のチャンス。新しい趣味に挑戦したり、ふと思い立って旅行に出かけたり。「やりたかったのに、できなかったこと」を一つずつ実現していくうちに、気持ちがどんどん前向きになっていきました。
私はこの機会に、一人旅をしました。予定を詰め込まず、気の向くままに歩き、風景を楽しみ、自分のペースで過ごす時間は、心にじんわりと響くものでした。時間に余裕がある今だからこそ、やりたかったことができます。
生活リズムの再構築
今までの仕事中心の生活から一転、自分の好きなことに時間を使うことで、エネルギーがどんどんチャージされていきます。生活リズムを整えて、心身ともに健康的な日々を送りつつ、「これが本当の自分だ!」と気づく瞬間もあったり。朝のジョギング、昼寝、夜の読書。なんて自分は自由なんだって思えます。
自然をゆっくり楽しめる
退職して時間に追われなくなった今、ふと気づくことがあります。「自由って、心の余裕なんだなぁ」と。
これまでは見えていなかったものが、少しずつ目に入ってくるようになりました。たとえば、通い慣れた道の脇に咲いていた小さな花。「こんなにきれいな花が、ここにあったんだ…」と、思わず立ち止まって見入ってしまったほどです。
川沿いを歩けば、水面の中に魚が泳いでいるのが見える。「こんなにたくさんいたの?」と驚くほど、透き通った流れの中に、大小さまざまな魚たちが自由に動き回っていました。以前は足早に通り過ぎていた場所なのに、少し目線を変えるだけで、まったく違った世界が広がっていることに気づかされます。
忙しい毎日を送っていた頃は、そんな景色や音に目を向ける余裕なんてありませんでした。「見ていたつもりでも、本当は見えていなかったんだな」と、しみじみ思います。今、ようやく“今”という時間をちゃんと感じられるようになった気がします。自然と向き合う時間が、心の静けさと豊かさを教えてくれています。
2か月目:ムムッ?何かが違うぞ
自由な生活にもだいぶ慣れてきた2ヶ月目。毎日のんびり過ごし、気ままな日々を楽しんでいるはずなのに──なんだか心の中に小さな違和感が生まれ始めました。
ふと気づくんです。
「そういえば、今日、誰とも話してないな…」
「私、1日なにしてたっけ?」
そんなふうに、自分の存在がふわっと宙に浮いているような感覚に包まれることが増えてきました。組織や仕事から離れたことで、社会との接点がどんどん薄れていく。自由を楽しんでいたはずなのに、どこかぽっかりと心に穴が開いたような、不思議な孤独感が忍び寄ってきました。
孤独と焦燥感にじわりと包まれる日々
自由な生活に慣れてきたはずなのに、心の奥では少しずつ別の感情が顔を出し始めました。それが「孤独」と「焦り」です。会社という社会とのつながりから一気に離れると、思った以上に“ひとり”を実感する場面が増えてきます。ふとした瞬間に、「今日、誰とも会話してないな…」と気づいたり、夜ふと、「私、今日は何をしていたんだろう」と振り返って、なんとも言えない空虚さに包まれたり。
「なんだか少し、寂しいかも」
「このままで、本当に大丈夫なのかな?」
そんなふうに自問自答する日が、徐増えていきました。自由なはずなのに、心がどこか落ち着かない──そんな現実が少しずつ浮かび上がってきました。
無職でもやってくる、納税という現実
「これからは自由だ!」と晴れやかな気持ちで退職したのもつかの間、すぐに現実に引き戻される出来事がありました。
それが、“納税”です。
わかってはいたものの、貯金がじわじわ減っていくのを見ていると、心の余裕まで少しずつ削られていく気がします。
仕事を辞めて収入がなくなっても、国民健康保険、国民年金、住民税の支払いはしっかり続きます。しかも、これらの金額は基本的に「前年の収入」をもとに計算されるので、無職になった今も負担は思った以上に大きいのです。特に驚いたのが住民税と健康保険料。「え…この金額、本当に合ってるの?」と思わず何度も通知書を見直してしまいました。年金も月々1万7千円ほど。自由な生活を満喫していた気分が、一気に現実モードへと切り替わりました。
「このままじゃマズいかな…やっぱり働かないとダメかな・・」
そんな考えが頭をよぎるようになりました。でも、前の会社のようなストレスフルな働き方は、もうしたくない。高給じゃなくてもいいから、心穏やかに働ける場所を探したい。そんなふうに、“次の一歩”について考え始めるきっかけにもなりました。
お金の不安は決して小さくはありませんが、納税や保険料の支払いは社会とのつながりを保つための大切なことです。だからこそ、前向きに向き合いながら、自分らしい働き方や暮らし方を、これから見つけていけたら──そう思い始めた2ヶ月目でした。
再就職活動、始めてみたものの…
退職して2ヶ月目。そろそろ新しい生活にも慣れてきたころ、同じタイミングで辞めた元同僚たちから「内定決まったよ!」という連絡がちらほら届き始めました。
「おお、すごい!おめでとう!」と返しながら、内心はちょっと複雑。
「え、もう次が決まったの?早くない?」と焦る気持ちが顔を出します。
私自身も「そろそろ動き出さなきゃ」と思う一方で、「長く休んじゃうと社会復帰がしんどくなるかも…」なんて不安も。かといって、慌てて合わない会社に入って、またストレスまみれになるのは本末転倒です。だからこそ、焦らずに自分のペースで探すことに決めました。でも正直なところ、同僚たちの進展を見ていると、「私だけ取り残されてる…?」なんて気持ちになることもあります。とはいえ、無理して希望に合わない会社に飛び込んでも、きっと続かない。自分が納得できる環境をじっくり見極めて選ぶことが、長く働くためには大事だと思うのです。
ただ、現実的には、50代後半ともなると、選べる選択肢が限られてくるのも事実。条件や希望をすべて満たす仕事なんて、なかなか見つからない。それでも、これまでの経験や自分らしさを大切にしながら、「ここならもう一度頑張れそう」と思える場所に出会えることを信じて、少しずつ前に進んでいこうと考え始めました。
3か月目:さぁ、出発進行!
退職から3ヶ月。ようやく新しい生活リズムが整い、気持ちにも安定感が出てきました。毎日を自分のペースで過ごせるこの感覚、最初は少し不安もありましたが、最近では「案外、悪くないな」と思うことが増えてきました。この頃になると、転職活動を本格的に始める人も多くなります。私も例に漏れず、ようやく重い腰を上げて、転職エージェントに相談したり、キャリアについて本気で考えるようになりました。
しかし、「会社に戻る」だけが選択肢じゃないかも、という気持ちも出てきます。そんな中で、ふと見つけた起業セミナーに参加してみたり、昔から気になっていた分野の学び直しにチャレンジしてみたり…。今まで見えていなかった「新しい可能性」が、少しずつ目の前に広がってきたような感覚です。未来のことはまだはっきりとは見えない、何となく「次のステージへ動き出せそうだな」と思える瞬間が増えてきました。焦らず、自分のペースで、でも確実に一歩ずつ前へ。
この3か月を通して、自由を楽しみ、孤独を受け止め、現実と向き合いながらも、少しずつ「これから」の道筋が見え始めた気がします。
心と体の健康の大切さ
退職後の3ヶ月間、自由な時間が増えたせいか、ついつい食べ過ぎてしまい、気がつくと体重が増えていました。鏡を見るたびに「え?太ったかも…?」と少しショックを受け、ついでに「老けたなあ…」なんて思ってしまうことも。時の流れにはなかなか勝てませんね、トホホ。
でも、そこで落ち込んでいる場合じゃありません!これからの人生を元気に楽しむためには、やっぱり健康が一番大事。適度な運動を取り入れて、バランスの良い食事を心がけることで、体の内側からリフレッシュしていくことにしました。健康のありがたさを改めて実感しています。
生活が落ち着いてくると、自然と心にも余裕が生まれました。家族や友人との時間が、以前よりずっと愛おしく感じられます。良い人間関係は心の栄養ですね。これからも、できるだけストレスを溜めずに、楽しく健康的な毎日を送りながら、いい年の重ね方を目指していきたいと思っています。
まとめ
人生には予想もしない出来事が起こるものですね。30年以上勤めた会社が希望退職を募集するなんて、まったく考えていませんでした。でも、こうした変化も人生の一部だと思っています。
早期退職で一時は不安もありましたが、今はこれを「神様からの贈り物」と感じ、大切な時間を上手に使いたいと考えています。退職してから3ヶ月が経ち、どうなるかと思っていましたが、結局わかったのは「なんとかなる」ということです。
退職後に感じる心の揺れは、決して悪いものではなく、新しい自分と出会い、人生をリスタートするチャンスでもあります。最初は戸惑うこともあるありますが、3か月もすれば心が落ち着き、次の一歩を踏み出す準備ができてきます。
大切なのは、自分のペースで心の変化を受け入れながら進むこと。焦らず「なんとかなる!」と思って進めば、きっと新しい自分に出会えるはずです。もし今、退職後の不安や孤独を感じているなら、私の経験が少しでも参考になればうれしいです。