みなさん、こんにちは。製薬会社の平均年収は、他業種、他の業界に比べても賃金水準が高い傾向にあります。私が入社した頃はちょうどバブル期でした。当初、卒業したら薬剤師になろうと思っていましたが、薬剤師よりも製薬会社の方が、給料や福利厚生が格段に良く、結局、製薬会社のMRを選びました。その選択がよかったのかどうかはわかりませんが、そのままずるずると30年以上もMRをしています。私のような50代後半に差し掛かってくると昇給は望ません。現状維持というよりは、どちらかというと減る一方です。そんな中で、賃上げは、給料が増えるので喜ばしいことなのですが、50代の社員にとっては別の側面があるようにも思えます。
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消費者物価指数を見ると
消費者物価指数ってご存じですか?なんとなく聞いたことがあると思います。消費者物価指数とは、商品の価格(消費者物価)の平均的な動きを測定したものを言います。ざっくり言えば、基準となる時点と比べて、どれくらい値段が変動しているかをみたものです。例えば、基準となる時点の物価を100とした場合、比較時点での物価が103だとすると、物価が3%上昇したことになります。
総務省統計局によると、4月の消費者物価指数は、
- 総合指数は2020年を100として105.1
前年同月比は3.5%の上昇 - 生鮮食品を除く総合指数は104.8
前年同月比は3.4%の上昇 - 生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数は104.0
前年同月比は4.1%の上昇
となり、物価が上がっています。物価上昇に連動して給料も上がればよいのですが、給料が上がらない場合は、消費が冷え込む可能性があります。
平均所得の中央値は440万円
厚生労働省が発表した「2021年国民生活基礎調査の概況」の所得金額階級別に世帯数の相対度数分布によると、
<所得>
- 平均所得中央値: 440 万円
- 平均所得金額:564 万 3 千円
<分布>
- 300~400 万円未満:13.4%
- 200~300 万円未満:13.3%
- 100~200 万円未満:13.1% と順に多くなっています。
平均所得金額の年次推移をみても、過去30年間、平均所得金額は大きく変わっていません。厳しい現実ですね。
製薬会社はの平均年収は約580万
厚生労働省の調査によると、MRの平均年収は約580万。平均年収は、製薬会社によっても違いますし、営業成績や年齢、役職によってもに大きく左右されます。年収1,000万円を超えるMRも珍しくありません。
製薬会社は賃上げを実現できるのか
会社は社員の生活を支え、会社と社員とが共に発展することは社会的な使命です。そのためにも利益を出し続け、成長することが必要です。「パーソル総合研究所」の調査では、企業の経営層の 63.0%が「会社の成長なくして賃上げは難しい」と回答。「賃上げなくして会社の成長は難しい」の 6.4%を大きく上回りました。
製薬会社はどうでしょうか。賃上げを実施(or予定)している製薬会社を調べてみると、武田薬品工業、第一三共、アステラス、塩野義製薬、中外製薬、田辺三菱製薬、協和キリンなども賃上げを実施するようです。製薬会社の現状を見てみると、売上が思うように上がらない中、追い打ちをかけるように原材料費が高騰し、利益が圧迫しています。賃上げのためには、収益を確保し、経営状況を改善することが重要なのですが、そう簡単にはいきません。画期的な新薬を開発できれば、千億円を売り上げが期待できますが、新薬の開発は数百億円から数千億円という莫大な研究開発費が必要です。途中で開発中止になることもあります。まさにハイリスクハイリターン!
製薬会社が生き残っていくためには、優秀な人材の確保・社員の育成は必至。人材に投資し、将来の収益を生みだす「好循環」を目指していく必要があります。賃上げにより優秀な人材が集まり、それが成長につながることは間違いなさそうです。
賃上げのマイナス面を考える
賃上げは社員のモチベーションが高まり、優秀な人材も確保できます。しかし、全員が全員、賃上げの恩恵を受けることにはなりません。いわゆる「お荷物社員」はいらないということでもあります。MRでいえば、成果主義がさらに高まるはずです。高い評価を受けている社員は昇給させ、低い評価の社員は昇給させない。また、将来性のある若い社員は賃金を上げて、年配者の賃金は据え置き(あるいは減給させる)。イメージとしては、給料全体のパイの中で、年配者から若手に配分を変えるということになるのでしょう。この流れがさらに加速するかもしれません。40代にもなると、子供の教育費がかかり、またマイホームの購入も検討する年代です。給料が年齢によって大きく変動するとなると、将来設計が立てにくく、マイホーム購入を考え直す人も増えてくるはずです。
最後に・・
従業員にとって「賃上げする」という発表はとても嬉しいニュースです。実はその裏で、「大規模リストラ」の話が進んでいる可能性だってあります。リストラは、特に働かない40代、50代の年配MRはターゲットになります。会社からも必要とされる人は、どこからも必要とされます。会社に必要とされていない人は、業種、職種が変わっても必要とされません。年配のMRでも、会社に認められれば、いずれ昇給となって自分に返ってきます。成長意識を持って仕事に取組み、必要とされる人材になっていきましょう!