終業の時間のチャイムが鳴ると、上司が立ち上がって叫びます!
「残業するな!」
「早く帰れ!」
早く帰ることを強要することを「時短ハラスメント」と言います。私が若い頃は、遅くまで仕事してなんぼの世界でした。しかし今は違います。働き方改革関連法は、大企業は2019年4月1日より、中小企業は2020年4月1日からの施行されました。現在、働き方改革は国をあげて取り組んでいます。これも時代の流れですね。
働き方改革関連法の施行に伴い、企業は残業禁止にも力を入れています。私の上司も、口癖のように「早く帰れ」と叫んでいます。あまりにも残業が多いと、会社から「管理能力不足」と烙印を押されてしまいますので上司も必死になります。ですが、業務時間内に仕事が終わらないのに強制的に帰れと言われ、部下も部下で悩んでいるのです。今回の内容は、残業禁止について考えてみたいと思います。
【目次】
残業するなとは言うけど・・
ある社員はつぶやいています。「上司は残業するなと言うけど、仕事は終わらないんだよな」、「まったく・・。どうせって言うんだよ」
明日に持ち越せるならそうしたい!しかし、提出日があり、間に合わせないと。。
結局、自宅に帰って仕事をする羽目に・・。こういう社員は意外と多いのではないでしょうか。
業務量を100としてみると、
- 昔は → 会社(100%)+ 自宅(0%)
- 今は → 会社(90%)+ 自宅(10%)
ではなく、もしかして
- 会社(90%)+自宅(30%)?
おいおい、業務量が増えてるぞ~!でも残業禁止!これでは何の解決もなりません。昔は、残業すればその分、残業代として給料に反映していました。しかし、「働き方改革」の名のもとに残業禁止を進めているため、残業しにくい環境でもあります。そもそも「働き方改革=残業禁止」ではないのです。仕事しているのに、正当な給料が支払われない。ほんとあり得ない話です。この状態を放置していると、サービス残業の定常化になる恐れもあります。
強制的に仕事をさせない会社もある
就業終了時間になれば、オフィスを強制消灯させて帰宅を促す会社もあります。「キンコンカンコン♪」と終業時間のチャイムが鳴ると、「はい、消灯!」
上司「終業時間です!みんさん、帰ってください」
部下「え〜、まだ仕事が残ってるのに〜!」
上司「だめだめ。働き方改革です!」
部下「(心の中で)だったら仕事量を減らせっつーの!」
部下は、渋々、帰宅します。しかし仕事が終わっていません。責任感のある社員は残った仕事を自宅や喫茶店などで仕事をこなします。喫茶店に行けば余計なお金もかかり、また自宅に帰れば電気代だってかかります。効率も悪くなり、疲れも溜まり、ミスが起こり始めます。結局は仕事の質も落としてしまうのです。
会社として時間短縮に取り組む
勤務状況を正確に把握する
こっそりと残業しているケースも考えられるますよ。会社として、残業禁止を求めている以上は、社員の労働実態を把握する必要があります。時間外にネットをつなぐ場合に許可制にしたり、また、PCのログを把握し、時間外にアクセスしている社員がいれば指導するなどして、半強制的に業務をさせないようにしている企業もあるようです。しかし、営業職(MR)の場合は、そう簡単にいきません。顧客がいるため、緊急対応が必要な場合もあります。本来、業務として認めるべきですが、現状はどうなんでしょうか。上司に伝えても「それは遅くまで大変だったね」とねぎらいの言葉で終了。見て見ぬふりをしているケースもあります。まずは現状を把握し、会社としてしっかりとしたルール作りが必要です。働いた分の残業代を請求するのは、労働者にとって当然の権利なのです。
業務量を減らす
働き方改革を推進するためにも、残業をなくすことは良いことです。しかし、単に「時間短縮」だけを追い求めることは、時短ハラスメント!労働時間を減らせるような働き方ができる環境を整える必要があります。なかなか精査が難しいところですが、無駄な会議や無駄な書類作成など、必ず無駄なものがあるはずです。
どこの会社でも無駄は多く、
- 会議のための会議
- 結論が出ない会議
- ほとんど活用しない管理表
- 無駄な資料作成
- 手書き書類
など、無駄と思えることが多くあります。これをやめるだけで業務改善につながるのですが。何が無駄なのか、どうすれば改善できるのか、一度、上司と部下で話し合う機会を持ち、減らす努力を一緒に考えることも必要だと思います。
業務の効率化する
自分自身ができることもあります。
- 常に優先順位を考える
- 期限を意識する
- スケジュール管理を徹底する
- 社内での情報共有を徹底する
- ITツールの活用
今までやってきたことを変えることは面倒です。人はもともと安定を好みます。自分が変わるよりも、周りが変わってほしいと考えてしまうのです。どうしても他責傾向になり、次第と「してくれない病」が出てくるのです。これでは、現状は変わりません。業務改善を会社に求めるのと同時に、自分も変わる必要があります。くれぐれも「してくれない病」にならないようにしましょう。
相談できる環境を整備する
上司に相談したいのにできないケースもあります。
- いつもしかめっ面で、相談しにくい
- 対応が冷たい
- いつも忙しそうにしている
- ネガティブなことを言ったら実力がないと思われる
- 評価が下がってしまうかもしれない
日ごろのコミニュケーション不足だと思うのですが、部下の悩みを把握できず、健康被害が生じる可能性もあります。たとえ、サービス残業であったとしても、会社は労働時間の把握義務があります。終業時間に帰っても、自宅で長時間仕事をしているケースもあり、サービス残業が原因で社員に健康被害が生じれば、会社の責任になる可能性だってあります。管理職の方には、日ごろから部下に声がけし、コミニュケーションの機会を増やし、話しやすい雰囲気を作ってほしいものです。
まとめ
今回の内容は「時短ハラスメント」についての内容でした。社員にとって、労働時間が短くなることは喜ばしいことです。しかし、リストラなどで人員が減れば、それをカバーするため仕事量が増えます。給料が増えれば我慢できるのですが、給料が増えず仕事量だけが増えることに・・。それでは意味がありません。サービス残業だけが増えてしまうというのは本末転倒です。単に残業を禁止しただけで生産性が上がるわけでもなく、意味がありません。経営者や労務担当者は、現場の事情を把握し、労働時間を減らせるように、環境を整える必要があります。現場の意見を無視して、独断で時短対策を進めることだけは避けてほしいものです。では、みなさん、働き過ぎないように気を付けましょう!