またもや大企業シャープが早期退職募集です。シャープといえば、日本を代表する家電メーカー。シャープといえば、世界の「亀山モデル」ですね。私も買いました、液晶テレビのアクオス。当時、シャープのテレビには「世界の亀山モデル」というシールが貼ってあり、剥がさずそのままテレビに貼り付けたままにしていました。「うちのテレビはシャープのアクオスなんだぞ」と自慢してたかもしれません(笑)。栄光の時代ですね。そんな大企業シャープも、経営難に陥り、2016年に台湾の鴻海精密工業に買収されました。
そう言えば、今年、早期退職制度を導入したんじゃなかったっけ?と思いつつ、ググってみると、今年の4月に早期退職制度を導入していました。さらに、9月からは、55歳以上の一般社員と60歳以上の再雇用社員を対象にした、新たな早期退職制度が導入されました。今回の早期退職募集は、対象を管理職から一般社員、再雇用社員まで幅広く募集した形です。今期はコスト削減などを徹底するとのことですが、果たして黒字転換はできるのでしょうか。55歳以上が対象とのことですが、私は57歳。とても他人事とは思えません。そんなわけで、シャープの早期退職募集について感じたことを書きたいと思います。
【目次】
シャープの業績
2022年度の決算を見ると、売上高は 2兆5,481億円(+2.1%)、営業利益が-257億円、 経常利益が-304億円、 最終利益として-2,608億円でした。ディスプレイデバイスに関連する減損損失など、一過性の費用を計上したことがマイナス要因のひとつのようです。ちょっときつい決算ですね。
2022年度 連結業績概要より
2023年度の連結業績予想を見ると、売上高は前年比+0.5%の2兆5600億円、営業利益は400億円、経常利益は390億円、当期純利益は100億円を計画しています。2023年度は社長からも「2023年の黒字化は固く達成していきたい」と発言していることから、構造改革がさらに加速していくと思われます。どうなるんだ、シャープ!!
2023年度連結業績予想
シャープの早期退職の内容
シャープの早期退職募集の内容です
■募集範囲
- 55歳以上の一部管理職
- 55歳以上、勤続10年以上の一般社員
- 60歳以上の再雇用社員
■割増退職金
- 管理職:給与6か月分
- 一般社員:最大で給与12カ月分
- 再雇用社員:特別慰労金で最大給与12週分
今回の早期退職募集については、「人員削減が目的ではなく、社員の次のステップを支援するため」「自律的なキャリア形成を支援する福利厚生」と早期退職制度を導入理由を説明しています。本来、希望退職なので、「希望する人」が手を挙げをしてこの制度を活用するというものですが、もしかすると、残ってほしい社員、辞めてほしい社員の線引きをしているかもしれません。
また、過去に「退職勧奨マニュアル」のようなものがあったり、部下に早期退職の話をする際のロープレがあったり、そんな話も聞きます。目的が「社員の次のステップを支援」「キャリア形成の支援」ということなので、ほんと名ばかりの募集にならなければいいのですが。
退職割増金が少ない?
割増金がもらえるだけいい方だ!という人もいます。確かにそうですね。一部の会社では「退職金なし」というところもあります。しかし、シャープは大企業。2022年国民生活基礎調査では、日本人の平均所得金額は、全世帯で545万7,000円である中、シャープの平均年収は743.2万円となっています(有価証券報告書より)。
そういえば、少し前に「パナソニックの割増退職金は上限で4000万円」と言う記事を見ました。大盤振る舞いですね。シャープはそこまではないとしても、管理職で給与6か月分、一般社員で最大で給与12カ月分では少ないのでは?個人的にはもう少し割増退職金があっていいんじゃないの?と思ってしまいました。この募集要項で、実際にどれくらい募集をするんでしょうか。
もし自分の会社が早期退職募集したらどうするべきか
早期退職プログラムが開始されると、回答まで期限が設定されます。あまりにも急な募集なので、とても慌てますよね。
きっと、
- 急に言われても困る
- 持っている資格もないし、今の仕事しかできないよ
- こうなったらしがみつくしかない
- 今から自己啓発して間に合うかな
- これから転職活動どうしようか
- 家族になんて言おうか
いろんな思いがよぎります。一番いけないのは、割増退職金に目がくらんで「はい!辞めます」というパターン。私の先輩でも提示された退職金の額に目がくらんでしまい退職しましたが、会うたびに、「辞めなきゃよかった」と言っています。判断を間違ってしまう人は少なくはありません。確かに銀行口座に何千万という「退職金」が振り込まれるとウキウキ気分になります。しかし、働かなければ、常にお金が減っていきます。私の退職した同僚は、銀行口座から「日に日にお金が減っていくは恐怖でしかない」と言っていました。早めに再就職きれば、退職金に手を付けなくて済むかもしれません。お金に余裕が生まれると、精神的にも健康でいられます。
まずは準備すること。
今の自分は、年収でいうとごれくらいの金額になるんだろ?と考えてみるのはどうでしょうか。再就職先で、誰でもできる仕事を高年収で雇ってくる企業なんてありません。新人のAさんと退職したBさんと、もしスキルも給料も同じであれば、扱いやすく、覚えの早い新人のAさんを選びます。自分にしかない能力、スキル、資格を持っているとそれが付加価値になって再就職に有利です。例えば、私の知り合いには、
- Cさんは、MBAを取るために学校に通っています。
- Dさんは、土日を使って飲食店で働き、経営のノウハウを学んでいます。
- Eさんは、副業(通訳)を行い報酬を得ています。
もちろん会社に残る選択肢はあります。早く辞めるだけが人生ではありません。給与ダウンはある程度割りきりながら、営業であれば業績を上げ続けることです。上司はきっと評価してくれるはずです。いずれにしても早期退職募集の期限までに回答が必要です。なかなか難しい選択肢にはなりますが、よく考えて決断するようにしましょう。
最後に
今回の内容はシャープ早期退職募集についてのつぶやきでした。人員削減は、人件費(固定費)が圧縮できます。一時的な業績が悪化するとしても、将来の利益が見通せるならば株価は上がります。株主など社外へのアピールにはいいですね。しかし、社内はどうでしょうか。人が減ると、1人当たりの負担は増えます。経営が軌道に乗るまで、給料が変わらないかもしれません。そうなると負担だけが増えるという悪循環に陥ります。人財は見えにくいものですが、人を大事にする会社がいずれ持続的な成長につながっていくはずです。シャープは、1912年に創業した歴史のある大企業。たくさんの人から愛され、そして社員からも評価された素晴らしい企業になってもらいたいです。そしていつか「世界のシャープ」と言われる日が来てほしいと心からそう思います。