みなさん、こんにちは。
10月以降、製薬会社3社が早期退職支援プログラム実施の結果の発表がありました。
そのメーカーとは、塩野義製薬、参天製薬、大正製薬。
いったい何人の方がこのプログラムに応募されたのでしょうか。
プレスリリースをみると結果は以下の通り。
- 塩野義製薬:「200名の募集」 → 301名
- 参天製薬 :「募集人数の設定なし」 → 180名
- 大正製薬 :「募集人数の設定なし」 → 645名
従業員数の違いはあるものの、3社とも想定以上に応募があったようです。
では、この3社の早期退職募集結果について詳しくみていきましょう。
【目次】
①塩野義製薬の早期退職プログラム
まずは、塩野義製薬の早期退職プログラムの内容です。
- 対象:50歳以上かつ勤続年数5年以上の社員
- 募集人数:約200名
- 募集期間:8月1日~9月20日
- 退職日:10月31日
- 優遇処置:通常の退職金+特別転身支援金加算
- 再就職を支援する
対象をよくみると、
「マネジャーラインに従事するものや一部の幹部職層は除く」と書かれています。
つまり、非管理職が対象者になっています。
割増退職金が最大どれくらいなのかは不明です。
募集結果
- 応募者数:301名
200名の応募に対して、結果は301名。
想定よりも約1.5倍、応募したことになります。
プレスリリースには、2024年3月期第2四半期において、「転進支援関係費用として約66億円をその他の費用に計上」と書かれていました。
単純計算ですが、1人あたりの退職割増金を計算すると、
66億÷300人=2200万
2200万を中心として考えると、その範囲は、1500万~2500万?
退職金や退職割増金は会社によって大きく違うので、一概に言えませんが、
例えば、「通常の退職金」が2000万、「退職割増金」が2000万とすると、この期間に募集すれば、単純計算で4000万になります。
一瞬、目がくらんでしまいます。
②参天製薬の早期退職プロブラムの内容
続いて、参天製薬の早期退職のプログラムの内容です。
- 対象:50歳以上かつ勤続年数3年以上の社員
- 募集人数:設定なし
- 募集期間:2023年10月2日~2023年10月31日
- 退職日:2023年12月31日
- 退職加算金:退職金+退職特別加算金を支給。
- 再就職を支援する
こちらは募集期間が10月2日から10月31日の1か月。
1か月で募集するかどうかを決めなければなりません。
こちらも、割増退職金が最大、何カ月分なのかは不明です。
募集結果
- 応募者数:180名
参天製薬の従業員数は約2000人。
単純計算すると、全従業員の約9%に相当。
応募した180人について所属などの詳細は明らかにしていませんが、募集内容からすると、50歳以上の従業員の多くが、このプログラムに応募している可能性があります。
③大正製薬の早期退職プロブラムの内容
最後に、大正製薬の早期退職のプログラムの内容です。
-
対象:勤続3年以上かつ満30歳以上の正社員
-
募集人数:設定なし
-
募集期間:2023年5月9日~2023年8月10日
-
退職日:2023年6月30日~9月30日にかけて順次退職
-
退職加算金:退職金+退職特別加算金を支給。
-
再就職を支援する
対象者はなんと勤続3年以上かつ満30歳以上の正社員です。
30歳代では、まだ若くて転職が可能。
若くて優秀な人材であれば、「いい機会だ」と判断して応募するかもしれません。
募集結果
- 応募者数:645名
この募集人数にびっくりしました。
プレスリリースによると、「2024年3月期第2四半期において、早期退職優遇制度の実施に伴い発生した割増退職金及び再就職支援費用として約60億円を特別損失として計上する」とのことです。
単純計算すると
- 60億÷645名=約930万
2018年に早期退職募集を行った際は、40歳以上の社員が対象。
その時は、応募が984名でした。
割り増し退職金と再就職支援費用として特別損失122億円を計上でしたので、こちらも単純計算すると、
122億÷984名=1290万となります。
2018年よりも減っている?
過去に実施した製薬各社の割増退職金からみると、若干、控えめな割増退職金という印象です。
早期退職プログラムを実施するなら今?
塩野義製薬の早期退職プログラムの目的を例に見ていきましょう。
「当社は、2023年3月期に創業来の過去最高業績を達成し、2020年より取り組んできた中期経営計画SHIONOGI Transformation Strategy 2030(以下、STS2030)を、2023年6月に「STS2030 Revision」として改訂いたしました。その達成には「感染症領域を中心としたグローバルでの成長」や「新規事業の確立・成長」などの事業変革が必要であり、グローバルな競争を勝ち抜くための経営基盤と人材の強化に取り組んでいます。この特別早期退職プログラムは、大きな環境変化の中で、自身の次なる新しいキャリアを考える従業員への支援を目的として実施いたしました」
この中で、注目すべきキーワードとして、
- グローバルでの成長
- 感染症領域を中心とした展開
- 新規事業の確立と成長
このキーワードを深読みしてみると
●グローバルでの成長
これからは少なくとも「英語を話せる人」が必要となりそうです。
例えば、出世するのは、英検やTOEICでふるいにかけられるかもしれません。
また「中国語が堪能」であれば他の人と差別化できます。
なんからの形で資格制度も導入されると思われますので、これから年配社員はますます大変になる?
もちろん50代で先が見えている社員よりは、将来性のある30歳代の社員にチャンスを与えるのは当然のことですが・・。
●感染症領域を中心とした展開
感染症領域は花形部署。
会社としても注目している部署になります。
さらに、経営層との接点も増え、結果次第では引き上げてくれるかもしれません。
最近では、プライマリー製品全体を扱うMRよりも、専門領域のMRの方が転職しやすいとも言われています。
「競合他社に転職」というのはよくある話です。
私の会社でも、何人かは競合メーカーに転職していきました。
「この領域だけは誰にも負けない」というものがあればそれがアピールにもなります。
新規事業の確立と成長
新規事業の部署には、能力の高い社員(いわるゆできる社員)を配属されます。
新規事業を立ち上げる場合は失敗は許されないためです。
「0→1」が得意な人間と、
「1→10」が得意な人間がいます。
新規事業の場合は、「0→1」
アイデア豊富、発想豊か、問題解決能力が高く、いろんな提案ができる人材。
当然ながらコミュニケーション力も求められます。
会社としても将来性のある若手社員を重要なポストに配置していくと思われます。
これもよくある話ですが、若いころは、営業を経験させ、その後、数々の部署に異動し、経験値を上げさせます。
どこの会社でもそうですが、20歳代には有望な社員に選定しています。
仕事はしない、でも給料が高い50歳代。
会社にとってはお払い箱なのかもしれません。
早期退職募集を実施するのも、いわゆる「働かないおじさん」に辞めてもらい、若返りを図りたいと思うのは、経営者であれば自然なことかもしれませんが。
まとめ
就職支援もあるとはいえ、仮に就職したとしても、今までと同じような給料はもらえないのが普通です。
私の早期退職した同僚の話を聞く限りでは、年収は1/2から2/3の範囲内です。
仮に900万もらってる人であれば、次の就職先の年収は400万~600万?
この年収で納得できるかです。
ここ数年間は、製薬会社の早期退職募集は続くとみています。
11月より、杏林製薬も希望退職募集を行っています。
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対象:下記①または②に該当する杏林製薬の社員(MRなどを除く)
①年齢 50 歳以上 65 歳未満かつ勤続年数 5 年以上の一般社員
②年齢 55 歳以上かつ勤続年数 5 年以上の管理職
- 募集人数:設定なし
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募集期間:2023年11月1日~2023年11月30日
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退職日:2024年1月31日
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退職加算金:退職金+退職特別加算金を支給。
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再就職を支援する
前の会社の役職は、残念ながらなんの役にも立ちません。
自分に何ができるかです。
いつ早期退職募集があってもいいように、日ごろから自分を高めていきましょう!