先日、再雇用で働いている年配MR(62歳)の方と話をする機会がありました。
まず、その62歳のMRの方が、再雇用で働こうと思った理由を聞いてみたところ、
- 年金以外の収入が得られる
- 健康でいられること
- 生きがいを持てる
話を聞いていく中で、いろいろ考えさせられることが多くありました。
果たして、働いた方がいいのか、また、働かずに自由気ままに生きた方がいいのか。
個人的にも興味があり、「定年後の働き方」について調べてみました。
何かの参考になれば幸いです。
目次
高年齢者雇用安定法
高年齢者雇用安定法が改定され、令和3年4月1日に施行されました。
- 義務:65歳までの高年齢者雇用確保措置
- 努力義務:65歳~70歳までの高年齢者就業確保措置(追加)
つまり、企業として、
-
70歳までの定年引き上げ
-
定年制の廃止
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70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
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70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
-
70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
これはあくまで努力義務。
努力義務には法的拘束力がありません。
しかしながら、努力を劣れば、行政指導を受ける可能性は0ではありません。
特に大企業は積極的に導入してくるのではないかと思われます。
再雇用のメリットとデメリット
再雇用のメリットとデメリットを考えてみると、
<メリット>
- 継続して働くことができる
- 慣れた環境で仕事ができる
- 顔見知りが多いのでそれほどストレスもかからない
- 一定の収入が確保できる
- 年金受給額が増える
<デメリット>
- 定年前よりも大幅に給与が下がる
- 期限付き契約で先が見通せない
- 退職前と同様の仕事ができるとは限らない
- 体調面の不安
いろいろとお話を聞いた62歳のMRの方ですが、多少の不安があるとのことでした。
理由は、給料が半減の割には仕事量は変わらないとのこと。
(逆に増えている?)
給料半減に伴い、仕事量や責任もある程度は軽減されるべきですが、退職前とほとんど変わらない仕事量をこなしています。
特にMRの場合は、計画が与えられ、ノルマ達成のために得意先を回らなければなりません。
最近では医療業界や製薬業界も大きく変わり、輝かしい時代で活躍した経験値も役に立たないことが多くなってきました。
得意先には、施設によっては息子や娘の同年代の医者もいます。
処方してもらうために、若い医師にも頭を下げなければなりません。
社内でも社外でも雇用環境は同じであり、精神的なストレスは昔と変わりません。
MRで再雇用されたのであれば、それが当たり前なのかもしれませんが・・
定年までにできることを考えよう
再雇用と言っても、1年ごとの契約。
ある程度の業績を上げないと契約解除になる可能性もあります。
今、できることは、
- 業績を上げ続ける
- 専門スキルを身につける
自分に実力があれば、仮に雇用契約解除になったとしても再就職できるはずです。
なぜなら、企業は、転職者に即戦力を求めているからです。
厚生労働省のデータ(令和2年転職者実態調査の概要)でも
<転職者の採用理由>
- 経験を活かし即戦力になるから
- 専門知識能力があるから
まさに経験値と専門知識が重要視されています。
こういう実態調査を踏まえ、40代から専門知識やスキルを高めている必要があります。
定年後に働いている人の方がイベントは少ない
こんなデータがあります。
(元論文:Bull World Health Organ 2018;96:826–833)
<内容>
- 対象:日本人男性(1,288人)
- 追跡調査:15年間
- 定年後も仕事をしている人
- 定年後は仕事をしていない人
- イベント発症を比較
<イベント項目>
- 死亡
- 認知機能低下
- 脳卒中
- 糖尿病
<結果>
定年後の終了の有無とイベント発生状況
<定年後に仕事をしている人の方が>
- 死亡が少ない
- 認知機能低下が少ない
- 脳卒中も少ない
という結果でした。
不摂生や運動不足、精神状態も関与ているのかもしれません。
働いていた方が、規則正しい生活にもなり、通勤による運動不足も解消、いろんな刺激があるので認知機能の低下も抑えられる・・。
なんとなくわかるような気もします。
定年後に働いている人の方が寿命が長い
同論文に、定年後、働くことによって寿命がどれくらい延びたかというデータも掲載されています。
働いている人は、働いていない人と比べて、
- 寿命:1.91年延びた
- 認知機能低下:2.22年延長
- 脳卒中発症:3.35年延長
- 糖尿病発症:6.05年延長
年を取れば、体力も劣ってきますし、記憶力も落ちてきます。
それに健康状態も徐々に悪くなってきます。
結論として、定年後も働いた方がいいということになりますが、ある程度、年を取ってきたら、仕事はそこそこにして、ストレスのために働き方をしたいものです。